introduction

ふきげんな過去

過去と未来が隣接する物語。本作の脚本・監督を務める前田司郎は、『ふきげんな過去』のアイディアをゼロから生みだした。三島由紀夫賞、向田邦子賞受賞、岸田國士戯曲賞など錚々たる賞を受賞し、劇団「五反田団」を主宰する、異才の劇作家・前田司郎が、『ジ、エクストリーム、スキヤキ』から満を持してオリジナル脚本で人間ドラマに挑んだ。主演は二人の女優。まず未来子役としてオファーしたのは、独自の存在感でトップスターの座に君臨し、『毎日かあさん』以来5年ぶりの主演となる小泉今日子。圧倒的なカリスマ性を誇る彼女は、人生観や恋愛哲学が注目される唯一無二の女優である。そして果子役には、日本映画界の若きミューズ二階堂ふみ。若手演技派として抜群の存在感を誇る21歳は、個性的な役どころの多かった彼女には珍しく自然体の演技で臨んだ。そんな二人を贅沢にもW主演にむかえ、最強のタッグが実現。自分が本当の母親だという未来子の出現によって、退屈していた女子高生の果子は、眩い生き生きとした世界を見てしまう。そんな二人のひと夏の物語だ。まるで夏休みに宝島を探しに行くような、可笑しくも切ない、愛と孤独と成長の物語が誕生した。
北品川の食堂「蓮月庵」で暮らす果子は、毎日が死ぬほど退屈でつまらない。けれどそこから抜けだして他に行くこともできず無為な夏を過ごしていた。ある日、果子たち家族の前に、18年前に死んだはずの伯母・未来子が突然戻ってきて告げる。「あたし生きてたの」。戸籍も消滅している前科持ちの未来子。そして自分が本当の母親だというが…。
演劇・小説・ドラマ・映画など、ジャンルを飛び越え活躍するマルチプレイヤー前田司郎。「生きてるものはいないのか」にて岸田國士戯曲賞、「夏の水の半魚人」で三島由紀夫賞、NHKドラマ「徒歩7分」で向田邦子賞受賞など錚々たる賞を受賞してきた。そんな前田が監督第二作目に選んだのはやはり人間ドラマ。人間同士の“わかりあえなさ”と“わかりあいたさ”、ここではない世界を求めては孤独になってしまう人たち。そんな登場人物たちの滑稽さを、真骨頂である巧みな台詞回しで操り、人間模様を浮き彫りにしながら、観る者を独自の世界へと引き込んでいく。
主演の母娘役には小泉今日子と二階堂ふみ。未来子を連れ去りにくる謎の男・康則役に日本映画界きっての人気若手俳優高良健吾、果子の甲斐性のない父親・タイチ役に異質な存在感が魅力の板尾創路。そして、『私の男』『花子とアン』で主人公の幼少期を高い演技力で演じた山田望叶がいとこのカナ役で出演。さらに、シティボーイズの大竹まこと、きたろう、斉木しげるが三人揃って出演。主題歌と音楽を担当するのはPSY・S、パール兄弟、プリンセスプリンセスなど様々なトップ・アーティストのプロデュースを担当してきたムーンライダーズの岡田徹。主題歌の作詞と唄を担当するのは、世界的ヒットとなったピチカート・ファイヴの「Twiggy Twiggy」の作詞&作曲などを手掛けてきた佐藤奈々子。個性豊かな豪華キャストとスタッフがほろ苦い夏へと誘い込む。